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BRAKHAGE EYES

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BRAKHAGE EYES(ブラッケージ・アイズ)    
●解説    

スクリーンを見る、生を見る、死を見る、
己を見る、人間を見る、日常を見る、欲望を見る、闇を見る……。
ブラッケージ作品は“見る”という行為との格闘である!
ブラッケージの眼は、視線は、視覚は我々を何処へ誘うのか!

2000年、『DOG STAR MAN』が日本で初めて完全版として劇場公開され、フィルム・メディアにおける究極の映像表現としてデジタル世代にも大きな反響を巻き起こした。個人映画作家の巨人スタン・ブラッケージが『DOG STAR MAN』の前後に制作し“映画を撮ること”“生きること死ぬこと”が一体となった日本初公開を含む<BRAKHAGE EYES>7作品がニュープリントで上映される。
上映作品は、その評価をめぐって、当時の映画界で大論争を引き起こした初期の代表作『夜への前ぶれ』、事故で死んだ愛犬の腐乱していく姿を撮り続けた『思い出のシリウス』、愛妻ジェーンの出産シーンを記録した愛の詩『窓のしずくと動く赤ん坊』、蛾の羽、葉、花びらそのものをフィルムに貼り込んだカメラレス映画の代名詞『MOTHLIGHT』、死体解剖の様子を望遠レンズで凝視した超問題作『自分自身の眼で見る行為』など。傑作『DOG STAR MAN』待望の再上映もあり!

●作品解説

■FIRE OF WATERS 1965年 7分 サウンド
 ハイコントラストなモノクロフィルムで撮影された闇と光の世界。今回の“BRAKHAGE EYES”のなか では唯一サウンドがある作品。闇の中に閃光が放たれる一瞬に、ブラッケージの作品制作における変化 の予兆を感じさせる。

詩人ロバート・ケリーからの手紙のこの一文からインスピレーションを得た。--問題の真実はこういうことだ。人は水と炎の中で生きている。そして、最初の好みのまま永久に生き続けるだろう--この作品は、これをテーマとした光と音の劇である。(S・B)

■窓のしずくと動く赤ん坊 1959年 12分 サイレント
 死のイメージにとりつかれたブラッケージにとって、娘の誕生は全く新たな出来事だった。臨月の妻ジェーンが入浴中に捉えた水と光の構図が抜群に美しい。出産シーンに立ち会い、撮影することでブラッケージは真に生き返ったのかもしれない。1995年の山形国際ドキュメンタリー映画祭では出産場面が猥褻にあたるとして税関に不当な扱いをされ上映が実現しなかった作品である。

・・・ブラッケージが自分の娘の誕生をどう扱ったか。彼はこの作品で、彼の持つ技術のありったけを駆使している。それは、ある種の主題においては、抽象的で難解になる可能性がある。しかし、結果として、それを受け入れることで、この作品はとても率直で原始的な驚きと愛に満ち、文明をはるかに超えたものとなった。映画史上稀にみる体験となったほどである。(Arthur Winsten, The New York Post)

■夜ヘの前ぶれ 1958年 40分 サイレント
 自らの遺書として作った作品で、ラストでは実際に撮影しながら首を吊る行為を実践している(未遂に終わる)。生と死を昼と夜の反復的映像で捉えたこの一遍は、人間の内面に潜む心の闇を視覚的にあらわにした画期的な作品である。

動く男の昼の影は夜の光を連想させる。手に持ったばらの水鉢は太陽と月の輝きを反射する。木々の生い茂る庭への扉を開くことは、夜へ向かう黄昏の前ぶれだ。芝生の上で赤ん坊は水から誕生し、約束の虹と野生のばらがそれにつき添う。それは月とあらゆる光の根源になる。夜の光はグルグル回る乗り物で遊ぶ幼い子供たちになる。月はすべての光が戻ってくる柱のある寺院の上を動いていく。無垢なる子供たちは眠りの中で動物の夢を見、それは回る乗り物になり、やがて朝がくる。木々は色を変え、朝の間に葉を落とし、複雑な枝のからまり合いに変わってゆく。その枝で男の影は首を吊る。(S・B)

■THE DEAD 1960年 11分 サイレント (日本初公開)
 ベルギーでの実験映画祭の帰路の途中でパリに立ち寄った際に、ペール・ラシューズ墓地とセーヌ河岸で撮影された作品。同行した若き日のケネス・アンガーを「生きながら死んでいる」自分の分身にみたてて登場させている。ネガとポジを重ねることで、生(ポジ)のなかに組み込まれている死者(ネガ)を表現している。

過去の重みに打ちひしがれているヨーロッパは死者である。私はそこではいつも旅行者であって、生活していたわけではなかった。ヨーロッパに対する私の見解、過去の芸術に対する懸念、象徴に関するすべてを、その墓地は体現していた。『死者』は、安易に象徴として受け取られがちなものを、その根底から破壊するように撮った最初の作品となった。『死者』を撮ることによって私は生きのびた。(S・B)

■思い出のシリウス 1959年 11分 サイレント (日本初公開)
 事故で死んだ愛犬シリウスの死体をあえて放置したまま撮影を続けた作品。死体は腐敗する際に熱を発して雪を溶かす。死臭ただよう中、涙を流しながら死と対面するべく何度もカメラは撮りつづける。シリウス星とは別名DOG STAR。『DOG STAR MAN』は愛犬シリウスに捧げた作品とも言われている。

ある死体の腐敗と、死んでしまった愛するものの思い出の忘却とを、私は甘受するようになってきた。それによって、抽象的な死の概念はすべてどこかへ行ってしまった。その形式は、おそらく死体の周りで犬たちが踊ったり吠えたりしているのと同じ肉体的必要性から来ている。私はそれからヒントを得て、そのリズム構造を持つ歌を取り入れた。それはちょうど、犬たちが死体の周りを、リズムをとりながら踊りはね回ったり吠えたりしていることが、ある種の歌を生みだしたということなのだ。(S・B)

■MOTHLIGHT 1963年 4分 サイレント
 蛾の羽、葉、花びらなどを直接フィルムに貼りつけてダイレクトにプリントした、カメラなしで作られた(カメラレス)映画の代名詞的な作品。映写機の光によって死んだ蛾や花はまさに蘇生するかのようだ。ブラッケージのカメラレス映画は現在進行形のライフワーク的作品群“ハンドペインテッド・フィルムズ”に引継がれている。

鱗翅類の本質が、透明な2本のテープの間に生命の活気を再生させた。もし黒が白で白が黒だったとしたら、生まれてから死ぬまでの間に蛾は何を見るのだろうか。(S・B)

■自分自身の眼で見る行為 1971年 32min サイレント (日本初公開)
 見ることを追究し続けたブラッケージの行き着いた先は、死体解剖の場面だった。皮膚は切り裂かれ、内臓が取り出され、頭蓋骨がノコギリで割られ、脳味噌が露出する。しかしこの作品は決して死体愛好者の享楽のための映画ではない。32分間見続けるなかで、観客は死を、生を、人間を、物を、日常を、己を見る自分に出会うはずだ。音声がないサイレントの画面がそれを助長させている。

1971年秋、私はピッツバーグのアレゲーニー検死官事務所で撮影を始めた。カーネギー美術館映画セクションのサリー・ディクソンと検死官の協力を得て、私は、死体解剖Autopsy(これはギリシャ語で、正確に訳すと「自分自身の眼で見る行為」となる)の撮影許可をもらうことができた。撮影は2週間で終わり、その時、この映画は『EYES(眼)』『DEUS EX』に続く三部作の3番目の作品になると感じた。(S・B)

※(S・B)=スタン・ブラッケージ

●作品評
スタン・ブラッケージ作品集
BRAKHAGE EYES 評

[ブラッケージの眼差し]松本俊夫(映像作家)
画面にみなぎる圧倒的な表現力にぶちのめされた。死や生の赤裸々な姿を、とりつかれたように凝視するブラッケージの眼差がすごい。ぶれ、ピンボケ、光線洩れ、露出むらなどをも個人的なボキャブラリーに組込みながら、彼は一切の因襲を超えた視覚世界を立ちあげている。これらはすべて映画で世界を見ることの技術と、いかに世界が見えたかのドキュメントなのだ。

[映画の極北] 筒井武文(映画監督、映画評論家)
スタン・ブラッケージの映画は人をとことん疲労させる。すべてのコマを見るという映画にとって不可能な試みが実践されているからである。しかし、その極度の緊張は、たとえばバッハの「フーガの技法」を聴き通したときのような至福へと転化していくだろう。編集というより接合と呼びたいコマ単位のリズムの探求は、フィルムの表面(マテリアル)と奥行き(イメージ)を同時に知覚させ、スクリーンを光という音符で充たしてしまう。バッハの音符がそうであるように、ブラッケージのフィルムに無意味なコマはひとつとしてないのだ。ここに『DOG STAR MAN』という巨大なシリウス星の周りを旋回する7つの衛星が登場し、『DOG STAR MAN』のなかに溶解していた要素をそれぞれ形として浮上させ、各主題を変奏する。離人症を思わせるキャメラが夜と交感していく『夜への前ぶれ』からして、ブラッケージとはなんと死に憑かれた男なのだろう。光への愛が滲む『窓のしずくと動く赤ん坊』、スヌケ・フィルムの上で生と死が舞い踊る『MOTHLIGHT』、これだけは見たくかった『自分自身の眼で見る行為』まで、映画の極北がここにある。

●上映情報

★「BRAKHAGE EYES」&『DOG STAR MAN』
福岡FMFシネマテーク25周年記念上映のお知らせ!

福岡で個人映画・実験映画の上映活動を続け、3分間8ミリフィルムフェスティバル“パーソナルフォーカス”を主催している「フィルム・メーカーズ・フィールド(FMF)」が、共同で上映スペース〈REEL OUT〉を立ち上げた、今回はそのオープニング上映!『DOG STAR MAN(完全版)』「BRAKHAGE EYES」は九州で初の上映となります。福岡周辺の方はお見逃しなく!

●プログラム
A:『FIRE OF WATERS』『窓のしずくと動く赤ん坊』
  『夜への前ぶれ』
B:『THE DEAD』『思い出のシリウス』『MOTHLIGHT』
  『自分自身の眼で見る行為』
C:『DOG STAR MAN(完全版)』

●日程
4/27(土) 16:00〜A 18:00〜B 20:00〜C
4/28(日) 14:00〜A 16:00〜B 18:00〜C
4/29(月祝)14:00〜A 16:00〜B 18:00〜C

●場所
REEL OUT映写室 tel:092-843-7864(夜間)
http://ayot.tripod.co.jp/reelout/

●料金
¥1000

●主催・問合せ
フィルム・メーカーズ・フィールド(FMF)
 tel:092-851-4474/070-5845-0959

 

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